バガヴァッド・ギーターは大叙事詩マハーバーラタに収められているヒンドゥー教の聖典の一つです。日本ではヨガの教典としても認識されていますが、インドではより宗教的な側面の強いです。
今回は、バガヴァッド・ギーターとヒンドゥー教の関係について触れたいと思います。
バガヴァッド・ギーターの成立
バガヴァッド・ギーター(以下ギーター)を含むマハーバーラタの成立時期に関しては正確には分かっていません。
はじめは吟遊(ぎんゆう)詩人たちによって語り継がれていた物語が、紀元前数世紀ごろに今の形に整理されたと言われています。
成立時期を紀元前500年から200年の間だという説もあれば、マハーバーラタが完全に今の形になったのは起源400年ころだとされる場合もあり、正確な発生時期を探るのは非常に困難です。
ギーターはもともとバーガヴァタ派の聖典であったが、後からマハーバーラタの一部として組み込まれたという説もあります。
ギーターの作者
伝統的にギーターの作者は聖者ヴィヤーサだと言われています。
ヴィヤーサはギーターの本文にも出てくる聖人であり、マハーバーラタはヴィヤーサが見た一部始終を書き留めたものだとされます。
バガヴァッド・ギーターがヒンドゥー教に与えた影響
ギーターは、それまでインドの中で混在していた様々な信仰を一つにまとめる役割があったと考えられます。
その中心であったのが神(バガヴァン)への深い信仰心を持ったバクティ信仰ですが、ギャーナ・バクティといった異なる立場の信仰、ヨーガやサーンキャ派、または異端宗教であった仏教やジャイナ教さえも取りこむような性質があります。
それぞれ独立していた立場の宗派を取り込むこみ、神への帰依を強調したことによって、ヒンドゥー教の結びつきを強くしたのではなでしょうか。
ヒンドゥー教の中の位置づけ
ヒンドゥー教では、 ウパニシャッド、ブラフマ・スートラ と並びギーターを三大経典の一つとして認めています。
初期のヴェーダンタでは、俗世的な文献であるギーターを正当なものとは認めず、ウパニシャッドを シュルティ(天啓) としていました。しかしバガヴァッド・ギーターの人気は無視できないくらいすさましく、ブラフマ・スートラのなかでギーターについて触れられ、シャンカラなどのインドを代表する哲学者がギーターの注釈を書いています。
ギーターは高位のカースト出身者だけでなく、大衆に広く開かれた教典です。
現代インドの人にとってのギーター
現代のインドにおいて、バガヴァッド・ギーターは人々の生活に深く浸み込み欠かせないものとなっています。
インド独立の父であるマハトマ・ガンディもギーターを 「スピリチュアル・ディクショナリー」 と称え、生涯ギーターを欠かさずに読んでいました。マハトマ・ガンディは牢獄中にギーターの注釈も書いて出版しています。
インド独立後初めての首相となるジャワハルラール・ネルーもギーターに書かれたダルマ(義務)の遂行の大切さについてとき、インドの歴代の政治・経済の中心人物に愛読されています。
人々に根付くバクティ信仰
ギーターに書かれたバクティ・ヨガ(信愛のヨガ)はインドの人々に深く根付いています。
神への献身なバクティ(信愛)を捧げることによって、偉大なる神、ブラフマン(宇宙の創造主)と一体になれると信じられています。
ギーターの教えを説いたクリシュナの生誕祭はクリシュナ・ジャンマスタミと呼ばれいます。多くの女性はジャンマスタミの期間断食をします。
私がムンバイで学んでいるブリンダヴァン・グルクルでも毎年盛大にクリシュナの生誕を祝うので、その様子はヨガジェネレーションの記事にまとめてあります。
***ギーターについて***
コメント
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