自分自身と向き合うことで人間関係が改善する。ヨガ的人間関係の考え方

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ヨガを実践している人にとっても、そうでない人にとっても、多くの人にとって人間関係はとても大きな課題ですよね。

では、古典ヨガではどうしているのか?

というと、「人里離れた場所で修行しなさい」と…。

社会生活を送っている私たちにとっては、ぜんぜん参考にならないお答えが帰ってきます。

あまり人間関係の悩みを聞いてくれないヨガの経典の中で、実際の人間関係に使える考え方を選んだご紹介します。

人間関係のこじれは、自分自身の中に原因を探ろう

先日、ヨガジェネレーションさんで人間関係についての記事を書きました。

古典ヨガから学ぶ!人間関係の悩みを解決するヒント | ヨガジェネレーション yogageneration
ヨガ哲学は、人生を大きく変えてくれる“生き方の教科書”のような教えです。人間関係で悩むことが多い私たち。ヨガでは人間に関してどうアドバイスをしてくれるのか気になりますよね。今回は、古典ヨガでは人間関係についてどのように書かれているのかを紹介して、私たちが日常生活で活かせるヒントを探ってみたいと思います。

ヨガの文献の中で、人間関係について書かれている部分は本当に少ないので大変なのですが、よくよく読み込むと、ギータの教えは人間関係に当てはめて考えられる部分がとても多いです。

さて、人間関係の問題が起こるのはどのような時でしょうか?

ほとんどの場合、自分が思ったように相手が行動してくれないことが原因ではないでしょうか?

自分が正しいことと思っていても、相手を変えることは非常に難しいです。

誰でも他人の行動の欠点は目につきやすいですが、同じことを自分が出来ているかは気がつきにくい。他人の行動で嫌悪感を感じる時は、たいがい自分自身にも同じ要素があるからです。

ヨガではあまり他人との関係性について触れませんが、それは、人を変えることよりも自分を変えることの方が大切だからです。

自分を変えると、周りの人も変わる

「相手は自分の鏡」という言葉はヨガ以外でもよく聞く言葉ですが、ヨガ的な考え方をしても、やはり周りの人は自分自身を映し出す鏡のようなものだと思います。

例えば、アヒムサ(非暴力)について書かれたヨガスートラの一文を例に挙げると、

アヒムサ(非暴力)に専念した人の前では、その人の周囲では全ての人が敵意を捨てる。

ヨガスートラ2章35節

自分自身が非暴力に専念することで、周りの人が全て敵意を失うと書かれています。

インドでは、アヒムサを貫いた人の前では、トラさえも殺意を失って他の動物と平和に過ごすと言われています。

アヒムサは、他者に向けたものと、自分自身に向けたものがあります。

また、表面的に出すアヒムサと、表には出さないけれども内側のアヒムサがあります。

「自分は相手に親切に接しているのに、向こうが良くない態度をとる。」

と思っている時、本当にそうでしょうか?

自分はちゃんとした態度をとっていると思っていても、心の内側では相手のことを憎んでいたり、良くないと思っていませんか。

口や態度に出さなくても、心の中で思っていることは現実に投影されてしまいます。

何かを変えたい時にはまず、自分自身の内側から変えていく必要があります。

自分の思考が変わると、不思議と周りの環境も変わってきます。周りを変えようと奮闘するよりも、ずっとスムーズに世界が変わりますよ。

自分の内側を変えるとは?どのようにしたらいい?

自分の内側を変えると、いとも簡単に自分の周りの世界が変化しますが、実際は自分の心のクセを変えることが一番難しい。

どのような方法でアプローチしたら良いのでしょうか。

1・ヨガの練習で自分の心を観察する

自分の心を変えられない原因。最も大きな理由は、そもそも自分自身の心がどのように働いているのかを把握できていないことです。

ヨガの練習ではアーサナを練習している時も、どの様に体と心が働いているのかを観察しましょう。最初は、どの様に筋肉が働いて、それによってどの様に感じるのかを観察することがとても大切です。

外的なポーズではなくて、筋肉に無理をさせていないかなどを観察することは、日常の生活でも身体の声を聞くためにとても大切です。

同様に、心の働きを観察するクセを身につけます。

日常では難しいので、最初はヨガの練習の間だけでも良いので、どの様な思考が働いているのかを観察しましょう。

深く考えることと、思考を観察することは違います。

思考は勝手に生まれてくるものなので、どの様な考えが浮かんでくるかを客観視します。生まれてきた考えの内容に関して深く考えないようにします。

ポジティブな思考なのか、ネガティブな考え方が多いのか、外に向いた思考が多いのか、内側に向けた思考が多いのか、ほとんどの場合自分で把握できていません。

自分の心の働きを知ることで、初めて心のコントロールを学ぶ土台が出来ます。

2・生まれた思考に執着しない練習をしましょう

ヨガのクラス内であれば、以下のような思考が生まれてくる事が多いです。

  • 自分のアーサナが周りの人と比べて上手く出来ているかを比べて、喜んだり悲しんだりする。
  • 上手に出来ないアーサナが出来ない理由を考える。
  • 周りの生徒や、インストラクターのアーサナを見て評価する。
  • キープするのが苦しいポーズで、いつまで踏ん張るかを考える。
  • 苦手なポーズを、自宅で練習できなかった理由を考える。

これらはほんの一例ですが、本当に自分では全く意識していなくても、周りと見比べたり、出来ない言い訳を考えたり、思考は忙しく働いています。

この様な思考の働きに気が付いたら、「ネガティブは駄目だ!ポジティブに考えよう!」と頑張ると、ものすごく難しいです。

どうしたら自然発生する思考をコントロールできるのでしょうか。

ただ観察して、熟慮せずに、ただ手放す。

これが最も効果的です。

客観視できるようになると、自分にとって好ましいものと、好ましくないものが分かるようになってきますが、ヨガの練習中には、出来るだけどちらにも深くフォーカスせずに手放して、アーサナや呼吸に集中できるように練習すると良いです。

3・客観視が慣れてきたら、自然に日常生活で活かせます。

ヨガの練習で客観視が慣れてきたら、自分にとって好ましいものと、不快なものの区別がつくようになります。

「ストレッチをしたら気持ちが良いはずだ!」といった概念的なものではなくて、感覚で感じ取った本当の快適さを見つけることが出来るようになります。

それが分かるようになると、自分自身で快適な状況を選択できるようになります。

概念的な見方で物事を判断せず、本当の「快適さ」を知ることが出来ると、自分自身の心の状態が整い、周囲に対して発するオーラも変わってきます。

4・自分を変えることが周囲も変える

「相手は自分の鏡」と言いますが、人間関係は本当に自分自身の精神状態が影響します。

自分自身が快適で安定した状態でいると、不思議と周囲との関係もスムーズになります。

もちろん、人間関係は一方的なものではないので、本当に合わない相手とは、自分がどれだけ変わっても上手く付き合えないこともあるかもしれません。そういう時は自然と距離が離れていきます。「執着」をもって付き合うことでこじれてしまう人間関係も、自分自身がシンプルになることで変わってくるでしょう。

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