バガヴァッド・ギータ―がどのような書物なのかをご紹介します。
日本ではヨガの経典としても有名ですが、実際は「生き方」について書かれていてヨガに限定されません。瞑想を行うヨガスートラのヨガに関しても触れられていますが、それもギータ―の中では数ある実践方法の一つです。
人にはそれぞれ個性があるため、それぞれ分かりやすい言葉、実践しやすい方法が違います。ギータ―では、どの様な境遇の人でも実践できるようにいくつもの道を与えてくれています。
「どう生きるべきか」、「何を行うべきか」、「本当の自分とは」、「幸せ/苦しみとは何か」、「解放されるためには」などを教えてくれます。
バガヴァッド・ギーターの意味
バガヴァッドとは「神」
ギーターは「詩・歌」という意味です。
日本語では「神の詩」のように訳されます。
ギータ―の神・クリシュナ神とは?
バガヴァッド・ギーターで神と呼ばれるのはクリシュナ神です。
クリシュナは愛の神としても知られます。
空想の人物ではなく、実際に存在していました。幼少期から様々な逸話が残っています。
人々を救うために、ビシュヌ神が人間として生まれてきた姿だと言われています。
ギータ―はクリシュナが弟子であるアルジュナに宇宙の真理とヨガを説いた場面が書かれた書物です。神から与えられた言葉(詩)です。
ギータ―の発生した時代背景
成立時期
ギータ―は紀元前5世紀から2世紀ごろに成立したと言われています。
ギータ―は大衆に向けた文献であり、伝承する人は言語などをに融通をきかせながら言い伝えてきたため、正確な成立時期は現在でも分かっていません。
著者
著者は聖者ヴィヤーサだと言われます。
またヴィヤーサ本人も登場人物として書かれています。ギータ―は、その場面を見ていたヴィヤーサが後から話をしている回顧録です。
ギータ―を含むマハーバーラタとはどんな文献?わかりやすいまとめ
マハーバーラタは 全18巻、100,000詩節/200,000行以上で構成され、ラーマーヤナと並んでインドの2大叙事詩として知られます。
ストーリーはパーンダヴァ族とカウラヴァ族の間の王位継承争いについてを中心に書かれていますが、文化的背景や哲学思想など、とても奥深い内容が書かれています。
とても登場人物が多く、ボリュームが大きいので全てを原著訳で読むことは難しいのですが、ストーリーを分かりやすく書いた本はいくつも出ているので、興味のある方はそちらがおススメです。
(全巻の日本語翻訳はたぶん出版されていないです。)
現代版マハーバーラタ物語マハーバーラタは、とても解釈の難しいストーリーです。
物語では正義側だったパーンダヴァの5王子は、戦いの末悪のカウラヴァ100王子に勝利します。しかし、結局パーンダヴァの5王子も戦争の後で死んでしまいます。
バガヴァッド・ギーターでは最高の存在であったクリシュナでさえ、あっさりと亡くなります。
人生とは何なのだろう?
この物語の解釈は沢山の意見がありますが、とても感慨深いお話です。
ギータ―とはどのような場面?
バガヴァッド・ギーターは、マハーバーラタの巨大なお話の中の一場面ですが、哲学的なエッセンスの詰まった場面です。
ギータ―での主人公はアルジュナと呼ばれる王子です。
いよいよマハーバーラタの山場である戦争を目の前にして、アルジュナは途方にくれています。そこで、師であるクリシュナに嘆きます。
私は戦いたくない。敵は私の親族や古い友人たちだ。そんな人たちと殺しあうのは嫌だ!
あなたは戦わなくてはいけない。それがあなたの義務だから。立ち上がれアルジュナ!
分かりました!
たったこれだけのシーンです。
しかし、心の優しいアルジュナが自分の身内と殺しあうことを了承したなんて、とても不思議ですよね。
クリシュナはこの宇宙の真理をアルジュナに説いて、人の命の意味、宇宙の仕組み、本当の幸せとは、自分の義務を果たす意味などを説いてアルジュナに説得をしました。
この教えは2000年以上たった現代を生きる私たちにも大きな知恵の灯となっています。
クリシュナの説いた教えの内容
さて、どうやってクリシュナはアルジュナを説得したのでしょうか?
命の意味、本当の自分
親族や友人と殺しあうことを避けたいアルジュナにクリシュナは説きます。
君は嘆くべきじゃないものについて嘆いてるね。生死について嘆くべきじゃないよ。
本当の魂(プルシャ)はこの身体じゃないから、身体の生死は本当の死ではない。
身体は有限のものだから、いつかは滅びる。
だけど、本質は殺さないし、殺されもしない。
本質を知る人は不滅。だから、この世の仕組みに逆らわない。
私たちは、与えられた義務を行うべき
この世で身体を与えられて生まれてきた私たちにはカルマ(業)によって与えられた義務があり、それを全うするべきです。
現世でのダルマ(義務)を全うしなさい。
正しい行いを行うことをカルマヨガ(行為のヨガ)と呼びます。
行為を行いながらも、その行いの結果への執着を捨てなさい。
私たちは現世では行為を行わないということは不可能です。
だから常に行為と、行為の結果に縛られて生きています。
しかし、行為を行いながらも、その行為への執着を放棄することで、この世のしがらみから解放されます。
行うべき行為を遂行しながらも執着しないことは、完全な自由を手にするための方法です。
神に心を預けなさい
バクティヨガ(神への信愛のヨガ)を絶えず遂行しなさいと説きます。
クリシュナの境地とは、すなわちブラフマン(宇宙の原理)です。
ブラフマンは永遠に絶えない至高の状態。私たちの本質があるべき姿です。神に常に心を預けて祈念することは、自分自身もその状態へと導くことです。
私を愛してくれる人は、私にとっても愛おしい人♡
もっとも純粋な存在であるクリシュナ=ブラフマンに専念することは、自我を捨てることです。
宗教として捉えても良いのですが、実践することで自身の傲慢さや執着、自己中心的な思考を捨てることが出来る教えです。
一番簡単な心の鍛錬方法と言えるでしょう。
ギータ―は私たちの生きるヒントの詰まった文献
とても短いギータ―の中には、この世のエッセンスが沢山つまっています。
とても簡単に一部をご紹介しましたが、ぜひ全体を読んで頂きたいです。
ダントツにおススメなのは、サンスクリット語版のギータ―から直接訳した上村勝彦氏の翻訳です。文庫サイズで、持ち運びにも便利です。
バガヴァッド・ギーター (岩波文庫)少しずつでも読んで、クリシュナの残した知恵を現代社会を生き抜くためのヒントにして下さい。
***ギーターの本の比較はこちら***
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