聖音オームについて書きます。
ヨガのクラスで最初と最後にオーム(OM)というマントラを唱えることが一般的ですが、オームが何を意味しているのか考えたことはありますか?
私自身とても大切に唱えている言葉です。この言葉を唱える人が言葉の意味などを考えるきっかけになれば嬉しいです。
オームとはインドで最も尊い聖音です
ヨガのクラスで“オーム”という言葉に出会った人が多いのではないでしょうか。
ヨガクラスでは“Om shanti Shanti Shantih.”とクラスの最後に唱えることが多いので、それで知った方も多いかもしれないですね。
インドにいると、日常の中で聞くことがあります。
私がアシュラム(ヨガの修業道場)に滞在していた時には、アシュラム内の挨拶は“Hari Om”(ハリ・オーム)でした。
アシュラム内ではマントラを唱えることが多いのですが、全てのマントラや経典の読誦はオームで始まり、オームで終わります。
バンスリの先生と一緒にいる時も、お寺や神様の像が近づくと手を合わせて“Om Namo Shiva”(オーム・ナモッシバーヤ)とシヴァ神へのマントラを唱えています。あまりに自然な行為なので、気が付かないことが多いです。
日常で宗教の話をすることはほとんどありませんが、あまりに自然な神聖な行為を見た時にインドの美しさを感じます。大げさな宗教行事よりも、さりげない信仰の方が私にとっては真実に見えます。
オームと言う言葉は、紀元前1000年以上前から聖なる言葉として記録が残っていますオ
現存している最も古い文献ギータの時代には、現代のような体系のヒンドゥー教はまだ出来上がっていませんでしたが、その時代からオームは最も神聖な音です。
現在ではヒンドゥー教の聖音として認知され、ヨガではスピリチュアルな音として考えられているのでしょうが、「誰のもの」という枠が当てはまらないほど古代から多くの人に大切にされてきた言葉だと思います。
オームは始まりの音です
ヨガスートラの中では下記のように書かれています。
彼(イシュワラ)を示す言葉はプラナヴァ」(1章27節)
古い文献を読んでいると、オームという聖音をプラナヴァと呼ぶことがあります。
プラナヴァの意味は「新しい音」です。
オームと言う言葉は、昔から宇宙の始まりの音として知られています。
ヨガスートラの中では、ヨガの教えを伝えて来た先生たちの一番最初の先生を表した名前として説明されています。
私の先生がプラナヴァについて教えてくれた時には、私たちの唱えるオームの音が、何度唱えても一度づつ新しいオームの音だと感じながら唱えなさいと教えてくれました。
音とは振動ですが、一度として全く同じ音は生まれません。だから、丁寧にオームの音を感じながら聞かないといけません。
ヨガのクラスでオームを唱えている時、私たちは自分自身のために唱えています。神に捧げるなどの宗教行事ではありません。
一つのオームが始まり、とどまり、終わります。終わった後には静寂が残ります。
その一回ずつの始まりから終わりの流れは、宇宙と同じであり、私たちの生命とも同じです。
オームを唱えるたびに、その瞬間の新しい自分自身に出会う気がします。
だから、私がオームを唱える時には本当に大切に唱えます。
オームを唱える事と、インド音楽の関係
オームを唱えることは、インド音楽の練習に似ています。
毎日の練習の始まりは”Sa”というベースの音の練習で始まります。
私はバンスリと呼ばれる竹のフルートを演奏していますが、声楽でも他の楽器でも同じです。
Saのたった1音を出来るだけ、細く長く均等に美しく吹く。それだけの練習を毎朝最低でも10分は行なってから、他の音を演奏します。
自分の息の長さでSaの音は終わりますが、何度も吹いていると音を出していない間にも耳の中でSaの音が聞こえます。
それは永遠と新しく途切れないオームの音と同じです。
インド音楽には沢山のルールがあっても楽譜がなく、即興で演奏されます。
一回づつの演奏が、2度と聞けない新しい演奏です。
それって、プラナヴァだなと思っています。
オームの音を唱えている時も、笛を演奏している時も同じです。
たった1音の始まりから終わるまで、その後の永遠と続く静寂はサマディ(悟りの境地)と同じです。
Om shanti…
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