※ラケシュバイヤーことShri Rakesh Chaurasiaが6月に来日します。
インドの音を感じたい方はお早めに席をご予約下さい。
今日はグルマ・アンナプールマ・デヴィが晩年一緒に過ごしたお弟子さん、ニッチャナンドさんの早朝コンサートに行ってきました。
グルマ・アンナプールマ・デヴィはビートルズとの共演で有名なラヴィ・シャンカール氏の最初の奥様です。インド音楽を世界中に広めたラヴィ・シャンカール氏のグル(師匠)はアンナプールマ・デヴィの父親です。
私たちのグルジの師匠もアンナプールマ・デヴィです。
グルジは独自のスタイルを築いているので、ニッチャナンドさんの方がグルマ(アンナプールマ・デヴィ)のスタイルに近いのかな? と想像しています。
そんな、同じガラナ(流派)のニッチャナンドさんの早朝コンサートでした。
会場は小さなシアターでしたが、とても上質の古典音楽をマイクの無しの生の音で聞けると有名なイベントです。
毎月第三日曜日に開催されます。
このコンサートでは、一切の写真撮影や携帯電話の使用が禁止されています。日本では当たり前ですが、インドではどのコンサートに行っても必ず観客が携帯電話を使っているので、厳しくルールを守るコンサートはとても珍しいです。
7時半からのコンサートは時間通りに始まりました。
ニッチャナンドさんはグルマの家や、グルジの関係で何度もお会いしていますが、演奏を聴くのは初めてです。
一曲目はラーガ・ラリットという朝のラーガでした。
北インド音楽は、時間帯によって演奏できる音楽が違います。
瞑想のメロディーのムードを大切にするインド音楽では、瞑想のように穏やかな演奏で演奏を始めて、音のムードを感じ取ります。
そのため、朝には朝の、昼には昼の、夜には夜のムードを演奏する必要があります。
雨の時には雨の、寒い時には寒いムードの音楽を演奏します。
ラーガ・ラリットは、朝の神秘的な雰囲気を含んでいる美しい音楽です。
音響システムの無いコンサートのスタートは、とても静かな音で始まりました。
静かに始まって、そのまま1時間は静かな演奏が続きました。
最初の10分でタブラ(打楽器)の伴奏が加わりましたが、タブラも注意しないと聞こえないくらい静かに演奏していました。
グルジ(Pt.ハリプラサッド・チャウラシア)やラケシュ・バイヤーは大舞台で映える煌びやかな演奏をしますが、
対極にある哀愁を感じるニッチャナンドさんの演奏に、グルマ(アンナプールマ・デヴィ)を思い出して涙があふれている来ました。
近年の大きな舞台映えするインド音楽と違い、限りなく静かな演奏には、「失われたインドの風」を感じました。
後から、主催者も観客も口をそろえて
「瞑想の音楽だった」
と言っていました。
2時間の演奏はあっという間に終わり、その間私たちは完全に音に意識を集中して瞑想を共有していました。
近年のインドでは特に、派手で煌びやかな音楽を求められます。
そのため、インド古典音楽に演奏家たちも、派手な舞台映えする演奏にシフトしています。
今日のコンサートは、本当にインド音楽の本質について考えさせられた、美しい時間でした。
私自身の音楽をどう作り上げるのか、考えるいいきっかけになりました。
最後になりますが、Rakesh Chaurasiaの来日、お見逃しありませんように!
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