先週の金曜日に、私の大好きなグンデチャ・ブラザーズの弟さんRamakant Gundechaさんが他界されました。
その日、Ramakantさんは、ポパールからプネ行きの電車を待って駅にいましたが、突然のハートアタックに襲われて救急搬送されたそうです。
前日の7日にはポパールで演奏を行ったばかり。
10日にはムンバイ で演奏の予定で、私も久しぶりのグンデチャ・ブラザーズが聴けることを心から楽しみにしていました。
インド音楽の巨匠の引退はいつも永遠のお別れの時。
生涯現役のアーティストが多いので、突然の悲しい知らせに心が締め付けられる思いをすることがあります。
日曜日の11月10日では、インド声楽の巨匠が集まるプログラムがありました。
朝から深夜まで、様々なガラナ(流派)のアーティストが演奏を行います。
インドではこのようなイベントがとても多いです。ムンバイはインドで一番忙しい都市なので、短いイベントが多いのですが、1日に沢山のアーティストさんを見れるコンサートプログラムはとても嬉しいです。
今回もお目当てもアーティストさんが何人かいたのですが、もちろん私はグンデチャ・ブラザーズを楽しみにしていました。
今回の目玉はジャスラジでした。
ジャスラジは現在89歳のインド声楽界の大巨匠です。インドの古典音楽を引っ張っていってくれるような存在。普段はアメリカに住んでいらっしゃいますが、冬場の音楽シーズンにはインドに帰って来られます。
ジャスラジの公演も遅れに遅れてスケジュールよりも2時間後に始まりました。グンデチャさんのことがあったのと、外の車の移動経路の警戒がとても厳重だったので、ジャスラジの姿が見れるまではドキドキしていました。
幕が開くとジャスラジはいつもの通り”Jai Ho!”と観客に呼びかけました。それだけでホッとして「いてくれてありがとう!」と思いました。
ジャスラジの喉の調子はだいぶ悪くなっていて、話す分には全く影響がないのですが、歌を歌おうとすると全く声が出なくなってしまいます。
それでも弟子に歌わせながら、それぞれのラーガについて話してくれます。ジャスラジの培ったラーガの知恵を私たちに届けてくれるのは本当にありがたい。歌が歌えなくても、観衆の前に姿を見せて下さるのはとても嬉しい。
私がインドに来てからでも、年々巨匠のアーティストが歳をとることを感じています。有名なアーティストが亡くなることが毎年あります。
グンデチャ・ブラザーズは私が初めて好きになったインド声楽のアーティストなので、本当に悲しい。
私のグルジの体調も、良い時と悪い時とあります。
今のインド音楽の歴史を作り上げてきた方々の出来るだけ近くで、歴史を見続けたい。新しいアーティストたちが何を作り上げられるのかを見たい。
改めて感じました。
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