ヴェーダンタ学派のスワミ・オームカラナンダ先生が教えてくれました。
“Don’t judge!” (他人を評価するな)
日常生活で忘れないよう、私自身もいつも気を付けています。
評価をしない生き方について、バガヴァッド・ギータの中では、下記のように書かれています。
その平等の境地をヨガと呼ぶ。(バガヴァッド・ギータ2章48節)
「良い」「悪い」と無意識に評価をしてしまうことで、私たちは新たな苦しみを作り出してしまいます。
そこから苦しみが生まれないように、自分に何度でも大きな声で言い聞かせたいです。
良い評価でも、悪い評価でも、そこから人は人を縛って影響を与えてしまいます。評価した本人にも必ず帰ってきてしまいます。
その時、先生がインド訛りの英語で話してくれたことをそのまま書いてみます。
スワミ時の言葉 ”Don’t judge” (評価してはいけない)
私は君の事を知らない。
君はすでに30年生きていたとするでしょ、僕は君に出会ってまだ3日しか経っていないんだ。
僕は君のことを評価出来ない。
僕はあなたの生きていた背景を知らないからね。
例えば今君が授業に遅刻してきたとする。だけど僕は簡単に「君は悪い生徒」だと言えない。僕はどうしてそうなってしまったか知らないから。何か理由があるのかもしれない。
ここに来るまでの道のりで困った人を助けていたのかもしれないし、深刻な病気で必死に来たのかもしれない。もちろん、寝坊しただけかもしれないけどね。
もし僕が君を評価しようとし始めたら、間違った評価を与えてしまう。
言葉には色も無い、臭いも無ければ味も無い。
だけどもし僕が君に何か言葉を与えるとすると、例えば間違った理解から君に「愚か」とゆう言葉を与えると、そこから間違った道が進んでしまう。それは君を傷つけることだ。
もし君が僕の言葉(愚か)を受け入れてしまったら、その言葉は君を変えてしまう。君は自分を愚かだと思って、そのように潜在意識が覚え、君自身が変わってしまう。
そして、いずれその言葉を発した僕にも帰ってくるのだよ。
愚かという言葉を発した僕自身の潜在意識にも「愚かという言葉がインプットされてしまう。」
「絶対に他人を評価してはいけない。」
「どうゆう風であれ、自分自身を受け入れなさい。」
では、ポジティブな評価ならどうだと思う?
1)今日良い評価を君にするだろ
2)とても君に期待(dream)するようになる。
3)翌日君がその期待に叶わなかったら…?
僕は君に裏切られたと思って、必要以上に落胆してしまうね。
他人を批判してはいけないけれど、良い評価をすること(ドリーム)も必要ないよ。
ただ、そこにある真実を見なさい。
評価は必要ない。
さて、評価はする人のその日の状態でも変わってしまうのだよ。
ポジティブな評価は本人の心の状態から生まれてくる。
ネガティブ な評価も本人の心の状態から生まれてくる。
真実を知る人はそれに見合う知識を得るまでは決して良し悪しの評価をしない。
ある段階まで進んだ人は、それが真実かどうかを判断する。良いか悪いかの評価を加えることは無い。
心の混乱は評価をしようとして生まれてくる。
混乱から評価が生まれてくる。
ヨガとは平等の境地 (バガヴァッド・ギータより)
「成功または失敗に対する執着を捨てなさい。その平等の境地をヨガと呼ぶ。」(バガヴァッド・ギータ2章48節)
西洋的な考え方ですと「良いものは良い」「悪いものは悪い」と考えがちです。
最近では、ヒーローものの映画を見ていても「完全に味方のスーパーヒーロー」や「完全に悪の敵」という安易な設定が減って、悪役にも感情移入できる背景が説明されたり、主人公の心の弱さも描かれています。それほど極端に良し悪しを判断することは減ったのかもしれません。
それならば、悪いと思う対象の良いところを見つける努力をすればいいのでしょうか?
私たち人間は、他人を良く思い過ぎる事でも新しい苦しみを得てしまいます。
・自分のものにしたい
・良い状態を失いたくない
好ましい対象に起こる、このような「執着」の感情は、もっとも依存性が高く、大きな苦しみの原因となってしまいます。
先ほどの先生の話にもどると、「あなたは本当に素晴らしい人。」という期待は、常に素晴らしくいなくてはいけないというプレッシャーであるとともに、期待が大きすぎることによって、少しでも違う行動をとられると、通常よりも大きな落胆と怒りの感情が生まれます。
だからこそ、ギータの中では、好ましいものと好ましくないものでさえ平等であることを教えます。
全ての存在しているものは、自然体のあるべき姿であり、私たちは無意味に評価をする必要はありません。自分自身に対しても必要以上に評価をして、自分自身を苦しめることはやめましょう。
自身のやるべき行為を行って、「結果の良し悪し」の評価をせずに満足できる状態がヨガ的な生き方です。
Hari om..
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