ヨガ・スートラの8支則の一つ、ニヤマに属する「タパス」について、私のグルジに聞いてみました。
トレーニングを受けていた時に何度も教わっていたのですが、ちょっと理解しきれていない部分があり。6年越しに聞けたので残しておきます。
そもそもヨガのタパスは苦行ではありません
最近はあまり見かけなくなった気がしますが、以前はタパスに対して「苦行」と訳すことが多かった気がします。
実際に、インドでサドゥと呼ばれる出家の修行僧の中には、片腕を何十年も上げ続けたり、過酷な断食をしたり、わざわざ苦しい実践を選んで修行をする業者が多くいます。
しかし、タパスは、苦しい行いをするという意味ではありません。
自分が自分に対して約束した行いをやり遂げることに意味があります。
タパスの語源は「熱」です。熱で心の中の不純なものを燃やします。
タパスは自分の中の不純なものを焼き、消してしまうための修業です。
不純物を焼き払うための炎は、自分自身への熱い決意です。
自分自身への決意を守ろうとした時に、必ずマナス(心)や感覚器官が邪魔をしようとします。それらを克服して、感覚器官をコントロールする事が出来た時に、私たちの精神は純粋で強く成長することができます。
どの様な決意でもタパスとして実践が出来ます
タパスには非常に多くの種類があり、インド国内でも流派によって多様なタパスの実践が行われています。
有名なものだと、厳しい断食の修業や、言葉を話さない修行などがあります。
しかし、特別な実践は必要ありません。
どの様な行動でも、タパスとなり得ます。
例えば、瞑想やアーサナでも練習を毎日すると決めて、それを毎日やり遂げることもタパスになります。
毎日続けるためには、自分の欲を克服する力が必要になります。
疲れて怠慢になってしまう時、寝たいと思う時、お酒を飲みたくても我慢しなくてはいけない時もあるでしょうし、友人と会っていても少し早く解散しなくてはいけない時もあるかもしれません。
人間の心は、あらゆる種類の「言い訳」を用意して「今日は仕方がない」と諦めることを考えます。そこで辞めてしまったら、自分自身を騙すことになってしまいます。
上手く自分自身でマネージメントして、自分への約束を守る行為が自分を高めてくれます。
様々な欲や、怠慢な心などの不純な性質に打ち勝って、純粋な心を磨くのがタパスです。
タパス中の心理状況とは
タパスは心のトレーニングです。なので、実際に何を行ったのかより、どの様な精神状態であるかが大切です。
「5日間の断食をする」などの厳しい目標を設定しても、その間苦痛しか感じることが出来ないのならば意味がありません。
タパスの内容を決める時には、自分の心の強さで克服できる目標設定をする必要があります。
たとえば、とってもスイーツの好きな甘党の人ならば、「甘いものを1カ月食べない。」
などの目標はとても良いでしょう。
「甘いものを食べないタパス」の実践中の心の状態を観察しましょう
最初は5感を使って入ってくる、あらゆる誘惑に意識が向いてしまいます。
・SNSで見たスイーツがとても美味しそう(視覚)
・隣の人が飲んでいるココアの香りが美味しそう(味覚)
・いつも砂糖を入れている紅茶の砂糖を抜いたら物足りない(味覚)
・友人が教えてくれた新商品が気になる(聴覚)
など、日常生活で5感を使って入ってくる、あらゆる情報から頭の中に欲が生まれてきます。
甘いものを食べていない時間がタパスの出来ている状態ではありません。
それらの欲が思考を支配してしまっている間は、我慢が出来ていてもタパスが成功している状態ではありません。
では、どの様に自分を高めれば良いのでしょうか。
上記のような欲が生まれてしまった時、「食べたいけど我慢しなければいけない。」とネガティブに考えるのではなくて、「この欲を克服することで自分自身を高めて目標に近づける。」とポジティブな思考に変換することです。
また、あらゆる言い訳を消していかなければいけません。
・今日は残業が長くて脳みそが糖質を欲している。
・貰いものを断るのは相手に失礼になってしまうから、これだけ。
などの、あらゆる理由「言い訳」で自分との約束を破ってしまいます。
これらの言い訳は思考の癖になってしまいます。
自分自身を騙さないで、約束を守ることが、自分への信頼に繋がります。
約束を守れた時には、自分自身を信頼できるようになる。
そのポジティブさもタパスを達成するための大きな秘訣です。
私自身のタパスについて
先生は、私の今の生活もタパスだと言ってくれました。
私は、音楽を学ぶためにムンバイで生活をしています。
国を離れて、家族や知人と離れて、決して楽ではないインド生活を、音楽のために続けていることが、すでにタパスだと言って頂きました。
さらっと言ってくれたことが、とても励みになりました。
嬉しかったので、記録に書いておきます。
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