インド音楽の巨匠ラビィ・シャンカルの言葉で考えた

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タブラ奏者ザキール・フセインが若いときに影響を受けたラビィ・シャンカルの言葉について聞きました。

インド音楽を世界に広めたのはラビィ・シャンカルというシタール奏者の功績がとても大きいです。ビートルズのジョージハリスンとの音楽活動などで知られ、現代のインド古典音楽の歴史を作った方です。

ザキールジを変えたラビィ・シャンカルの言葉

タブラ奏者のザキール・フセインと言えば、現在のインド音楽業界で最も人気のあるアーティストといって過言ではないと思います。そのザキールジが若いときにラビィ・シャンカル氏から言われた言葉について聞きました。

若いときのザキールジは、ラビィ・シャンカルの伴奏としてツアーをしていました。

当時からとても華やかな演奏をしていたタブラ奏者のザキールジはには、毎日沢山の観衆が盛大な拍手をし、コンサートの後には沢山の関係者やファンからの絶賛の言葉を頂いたそうです。

しかし、主演奏者のラビィ・シャンカルだけは何もコメントをくれなかった。

1日目、2日目、3日目と、ザキールジは絶賛の嵐を受けていたのに、ラヴィ氏だけは相変わらず何も言ってくれないので、ついに本人に意見を求めたそうです。

「僕の演奏はどうでしょうか?」

ラヴィ氏は逆に聞きました。

「おまえ、初日に私が何のラーガを演奏したか覚えているか?」

ザキールジは答えられなかったそうです。

「では、2日目は分かるか?」

ザキールジは2日目も答えられず、3日目について聞かれたときも、どのターラ(リズム)を演奏したかは分かっても、ラーガが分からなかったそうです。

「そういうことだ。君は自分の演奏に一生懸命で私の演奏を見ていなかった」

と言ったたそうです。

その時を機に、ザキールジは演奏を改めたそうです。

インド音楽は、主演奏者がメロディーを奏で、タブラなどの打楽器は主演奏者を支えるための伴奏。タブラは華やかな楽器なので、観客はタブラにも声援を送ることはありますが、タブラはメインのアーティストを引き立てるために最大の努力を注がなくてはいけません。

そのためには、主演奏者が何を演奏しているのかをしっかりと理解しなくてはいけません。

リズムだけではなくて、ラーガのムードによっても演奏を変えなければいけない。

タブラは主演奏者を引き立てるのが仕事

インド音楽では当たり前のことですが、それを忘れがちなアーティストは多く、今のインド音楽界でもタブラの音が大きすぎる問題はよく耳にします…。

今、ザキールジは間違えなく世界で最も有名なタブラ奏者。私も、様々なアーティストと共演するザキールジの演奏を聴きました。いつ聞いても本当に神がかった素晴らしい演奏なのですが、どれだけ若手のアーティストと演奏していても、しっかりと共演者の演奏を聴いて、それに合わせた演奏をしているのが良く分かります。

誰からも尊敬されているザキールジに、伝説の音楽家であるラビィ・シャンカル氏の一言が影響を与えていたと思うととても感動しました。

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