初心者のための『アヒムサ(非暴力)の意味と実践』

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これからヨガの哲学を勉強したい人にとって、一番入門の哲学をご提案したいと思います。

今回はヨガ哲学の中でも最も人気の高いアヒムサ(非暴力)です。

ヨガ哲学の概要については、こちらの記事でもご紹介しているので、参照してください。

アヒムサに関しては、動画でもお話しさせて頂いています。

バーンスリー演奏【名曲】インド独立の父 マハトマ・ガンジーが愛した曲「Vaishnav Jan To Tene Kahiye Je」を演奏|講師:永井由香|教えて♪ヨガ哲学|

インドを救ったアヒムサ(マハトマ・ガンディー)

インド独立の父と呼ばれるマハトマ・ガンディーは、ヨガの教典として有名なバガヴァット・ギーターを毎日読んでいたことで有名です。

そんなガンディーは、ヨガ・スートラのヤマ・ニヤマも厳格に守っていらっしゃいました。その中でも「アヒムサ(非暴力)」の誓いについては有名です。

イギリスからの独裁的な支配を受けていたインドでは、有名な「塩の行進」をはじめとしたデモ行進を活発に行っていました。

デモ活動中、沢山の同志が捉えられ、中には命を奪われた人もいたそうなのですが、ガンディーは頑固としてアヒムサを貫き、一切の暴力は行わずに行進を続けました。

結果、その姿が世界を動かし、インドを独立に導きました。

非暴力の業(アヒムサ)が世界を動かした最も有名な例です。

アヒムサを行うためには、暴力について考える

何が暴力か、暴力でないか、しっかり考えないと、自分でも知らない間に暴力行為を行っています。

非暴力を貫くためには、まずは自身の行動が暴力的か・非暴力的かを知る必要があります。

物質的・言語的・思考的な暴力

暴力の中には物質的なもの、言語的なもの、思考的なものがあります。

それぞれについて考えてみましょうあ。

物質的な暴力

物質的な暴力とは、実際に人に暴力を行うことです。

子供を叱っているときに、つい手を挙げてしまうようなものを含みます。

また、他人の所有物を傷めたり、奪うような行為も含みます。

言語的な暴力

言葉は人を大きく傷つけることのできる刃です。

他人を否定するような言葉を使わないように気を付けるのは当然ですが、自分自身で気が付かないうちに人を傷つけていることは多々あります。

自分にとっては気にならない言葉であっても、他者にとっては攻撃的に感じる言葉な場合もあります。同じ相手に向けた場合であっても、それを受ける相手の状態によっても変わります。

人を傷つけないためには、その時々の場の空気感と相手の状態、自分の出している雰囲気に意識を向けている必要があります。

人と話すたびにビクビクとしてしまうのも違いますが、普段から「今・この場所」に意識を向けているマインドフルな状態になれていると、自然と受け取る相手の状態も感じることができます。

思考的な暴力

たとえ、暴力的な言葉を発していなくても、相手を傷つけてしまうことがあります。

ヨガでは、思っただけであってもアヒムサに反すると考えます。

分かりやすいケースでは、「この人嫌い」と思ったのが、わずかに表情を不自然にしてしまい、無意識に相手に伝わってしまう場合です。

顔に出てしまうというのは、分かりやすい「非言語的な暴力」です。

上手く表情に出さなかったとしても、人はその場の空気感で感じてしまうことが多々あります。

また、暴力的な思考を抱くと、相手には伝わっていなくても、自分自身の内側には暴力的な要因が増えてしまいます

ヨガは自分自身の内側の純粋さを高めるものであるため、自分の心の中に暴力的な思考が増えてしまうことは、自分自身の成長を阻害してしまうことになります。

他人に対する暴力と自分に対する暴力

他者に向けた暴力は自覚がしやすいです。

しかし、自分に対する暴力は無意識に行ってしまいがち。

人は、日常生活で外側に意識が自然に向いてしまいます。そのため、自分自身を観察することが苦手です。

人を傷つけないように…結果自分が傷ついていることも

よくありがちなのが、人を傷つけたくないからと敏感になってしまい、その分自分自身が我慢をしてしまうこと。

「本当はこうしたい。」という願望があるのに、我慢し続けることは、どんどんストレスをため込む原因となります。

「自分だけ」「相手だけ」どちらか一方が得をするような方法は必ず何らかのネガティブさを生んでしまいます。

常に両者の関係を客観的に見て、両社にとって心地よい状態とは?を考えるようにできると良いです。ヨガは平等の境地ですので、自身と他者を平等に扱えるように考えましょう。

食べるものにも意識を向けましょう

アヒムサはあらゆる場面で意識されないといけません。

例えば、自分自身が食べているものに意識を向けることも大切。

値段が安いけれど、ひとまず簡単に食べられる、そのような食べ物には、あまり身体によくない添加物を多く含む加工食品が多いです。

自身の身体を傷つけることもアヒムサに反します。

常に何が自分にとって優しい行動化を考えましょう。

アヒムサの効果:周りも優しさに包まれる

「自分ばかり他人に優しくしていると損をするのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、自分から優しさに気を付けることで、気が付くと自身の周りの人も優しさであふれていることがあります。

残念な例

お母さんが私の嫌いなピーマンをサラダに入れた。

私「先週も私はピーマンが嫌いって言ったじゃない!」

母「好きなものばかり食べていないで、野菜も食べなさい!」

私「ほうれん草なら食べられるって前も言ったよ。」

母「それならもう、自分で作りなさい!」

自分が反抗的な態度をとってしまうと、当然相手も自分を守るために否定的な言葉で返事をしてしまいます。

アヒムサの出来た例

私「お母さん、せっかく料理してもらって申し訳ないのだけど、ピーマンだけはどうしても食べられないから残して良い?」

母「本当は食べた方が良いのだけど。緑黄色野菜が必要だから入れているのよ。」

私「一個だけ頑張って食べる。だけど、ごめんなさい。」

母(仕方ないわね…次はスムージーに入れたら飲みやすいかな?できるだけ別の野菜を買うようにしよう。)

とてもシンプルに書いたので、ここまで簡単にいかないかもしれません。

しかし、日常から相手と自分を思いやる話し方を心がけているだけで、人間関係がガラッと変わります。

ヨガでは、アヒムサを完全に身に着けた人の前では、全ての生物が殺意を失うと説かれます。(ヨガスートラ2章35節)例えば、オオカミと羊が一緒に遊びだすそうです。

確かに、とても穏やかで朗らかな人がいると、場の雰囲気が和むことがありますね。

まずは自分からアヒムサを心がけることで、自身も周りの人も穏やかな気持ちになります。

アヒムサは日常で行うヨガ

ヨガはヨガ教室、ヨガマットの上でポーズをとることだけではありません。

自分自身の心を知って、生き方を変えることが大きな目的です。

アヒムサは、ヨガの哲学の中でも最も日常生活で意識しやすいものです。

自分と他者にとってのアヒムサを意識して、ヨガを日常生活に活かしましょう。

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