バガヴァット・ギーターはヨガの教典としても、ヒンドゥー教の教典としても最も有名な本です。
ヨガを勉強している人の多くはギーターを読みたいと考えますが、沢山の翻訳が出てきて、結局どれを買ったらいいのか迷いますよね…。
今回は、いくつものギーターの本を読み比べた筆者が、それぞれの本の特徴をご紹介します。
ざっくりとギーターについて知りたい方は過去の記事をご覧ください。
- 『上村勝彦訳バガヴァット・ギーター』~私がずっと愛読している定番の書
- がっつりと解説が読みたい時は『バガヴァッド・ギーターの世界』
- とにかく簡単に読みたい!『バガヴァッド・ギーター ヒンドゥー教の聖典』
- 『やさしく学ぶYOGA哲学- バガヴァッドギーター 』~とりあえず世界観を知りたい人の入門教科書
- 『 神の詩―バガヴァッド・ギーター 』~優しい言葉で癒される一冊
- 『バガヴァット・ギーターあるがままの詩』~訳も解説も納得。早い者勝ち!
- 『バガヴァッド・ギーター(シュローカ本)』~シンプルで的確な翻訳はこちら
- 『Bhagavad-gita (英語) A.C. Bhaktivedanta Swami (著)』~英語なら絶対にこれ!!
- ギーターの言葉を一つづつ解説『生き方をヨーガにする バガヴァッド・ギーターの46の言葉 』
- こんな本も出しました!
- 目的によって自分にあった1冊を見つけましょう
『上村勝彦訳バガヴァット・ギーター』~私がずっと愛読している定番の書
私自身が常に参照しているギーターは、上村勝彦先生の翻訳したものです。
長年インドを一緒に旅していて、けっこうボロボロになってしまっています。
より原文の持つ意味のニュアンスを表現するために、難しい表現を使っている部分もあります。例えばサンニャーサというサンスクリット語の単語を訳すときに、簡単な日本語では「放棄」という訳を行う場合も多いのですが、本書では「放擲」という日本語を割り当てています。
日本語が難しいと感じる方もいますが、訳注部分が充実して、より原文の持つギーターの雰囲気を感じやすいと思います。
文庫版で買い求めやすいお値段なので、長く付き合う一冊として持っていて欲しい本です。
バガヴァッド・ギーター (岩波文庫)上村先生は、翻訳だけではなく、解説もされています。
がっつりと解説が読みたい時は『バガヴァッド・ギーターの世界』
同じく上村勝彦先生が書いた解説の本です。
バガヴァッド・ギーターに書かれている宇宙観を分かりやすく解説してくれています。
上村先生独自の視点で、仏教的な観点からも読み込まれているので、日本人にとってはとても親しみが深い解説だと思ます。
とにかく簡単に読みたい!『バガヴァッド・ギーター ヒンドゥー教の聖典』
2022年に発売された新しいバガヴァッド・ギーターの本です。
こちらの翻訳はインドでもニュースになっていました。
実際に読んでみた感想は、とにかく分かりやすい!簡単な翻訳本です。
何章の何節といった数字は書いてありません。ストーリーとして流れで読めます。「難しい!」と言われがちがバガヴァッド・ギーターをここまで簡潔に分かりやすく翻訳されたのには驚きです。
また、本書の後半部分の解説もとても面白い。
バガヴァッド・ギーターについてというより、インドの宗教感や思想がざっくりと読み取れます。インドの神様も登場して、とても楽しく読めました。
『やさしく学ぶYOGA哲学- バガヴァッドギーター 』~とりあえず世界観を知りたい人の入門教科書
ヨガの実践をしている方が、「とにかく分かりやすくギーターの教えを知りたい!」
という場合におススメの1冊です。
分かりやすいことに重きを置いているので、すでにギーターを他の本で読んでいる人にとっては、「ここの解釈って曖昧じゃない?」と思われてしまう部分もあります。
哲学好きな方よりも、ヨガを学んでいる方にとって読みやすい本かと思います。
ギーターの本文を読んだだけでは分かりにくい、マハーバーラタの全体の構図なども説明されているので、一冊で全体の概要が分かるようになっています。
『 神の詩―バガヴァッド・ギーター 』~優しい言葉で癒される一冊
とても優しい言葉で翻訳されている本です。
読者に語り掛けるような言葉で優しくアドバイスをしてくれるような、とても読みやすい本です。癒されたいときに読むギーターだと思います。
細かい翻訳は原文のニュアンスとかなり違う部分もあります。
学問的にしっかりとギーターのエッセンスを学びたい場合には、物足りないと感じてしまうかもしれませんが、とても人気のある1冊です。
『バガヴァット・ギーターあるがままの詩』~訳も解説も納得。早い者勝ち!
バクティヴェーダンタ文庫社の出している本書は、自費出版に近い形の製本で、Amazonでは新品を見つけることができませんでした。
実はこちらは、私が普段ギーターのコラムを書くときに参照している英語の本の日本語訳です。
パッと見た感じ、新書では手に入らないと思うので、Amazonで在庫のある時に早い者勝ちで買った方が良いと思います!!
翻訳は私の大好きな上村先生の解釈と多少違う部分もありますが、インドで一般的な解釈が採用されている感じがします。(世界的に一番ポピュラーなものなのかと…)
とにかく解説が充実しているので、しっかりとギーターを読み込みたい人には大満足の内容です。
『バガヴァッド・ギーター(シュローカ本)』~シンプルで的確な翻訳はこちら
同じく バクティヴェーダンタ出版の本ですが、こちらはマーケットプレイスで新品が手に入ります。kindle版もあるので、気楽に読めます。
ソフトカバーの方では、ローマ字で書かれた原文・単語の意味・1節ごとの日本語訳が書かれています。翻訳も読みやすくて的確な日本語で、ギーターの本来の文章を読みたいときには良い本だと思います。
しかし、解説がないため、理解するためには他の解説本を読むか、先生について学ぶ必要があると思います。
『Bhagavad-gita (英語) A.C. Bhaktivedanta Swami (著)』~英語なら絶対にこれ!!
普段私が使っている英語のバガヴァット・ギーターです。
- サンスクリット語の本文
- 単語ごとの意味
- 詳しい解説
が充実していて、これ一冊でギーターを学べると思います。(残念ながら日本語版では全く同じものはなさそうです…)
上村先生訳のギーターを見て、ニュアンスが分からない時には英語の訳、さらに不安だと単語の意味を見返しながら読んでいます。
海外で見かけた時には必ず手に入れて欲しいし、Amazonでも買えるので、英語が分かる方には絶対におススメの一冊です。
ギーターの言葉を一つづつ解説『生き方をヨーガにする バガヴァッド・ギーターの46の言葉 』
kindleで出版したバガヴァッド・ギーターの解説本です。
バガヴァッド・ギーター1章から18章までの中から46の言葉を抜粋してご紹介し、そこに書かれたクリシュナ神の教えを解説しています。
ヨーガ哲学講師の筆者が、自分自身の体験や、ヨーガの先生方から聞いた小話も挟みながら、哲学初心者でも分かりやすい言葉で説明しています。
1つづつの言葉は独立して読んで頂けるように書いていますので、今の自分に必要な言葉を探して読んで頂ければ、少しづつギーターの教えを理解できるようになってきます。
ギーターの教えをどう生かしたらいいのか分からない方におススメ。
こんな本も出しました!
ヨガ哲学を学んだらどうなったかの本も出版しました。
バガヴァッド・ギーターから学んだ文言もとても大きな人生の転機となっています。
ぜひこちらもチェックしてください。
目的によって自分にあった1冊を見つけましょう
ギーターと言っても、翻訳した人の解釈によって日本語での意味がかなり違います。。
ギーターは世界中の本当に沢山の人々に読み継がれている文献なので、その人によって解釈が違っても良いのかな、と思います。
自分が、サラっと読みたいのか、教科書として使うのか、もっと深く知りたいのか…それによって読み分けて頂ければ嬉しいです。
ギーターの基本はこちら
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