ヨガのイシュワラ・プラニダーナ(神への祈念)とは?心を穏やかにする教え。

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コロナウイルスの影響が想像を超える勢いで迫っていて、大きな不安がつのる昨今。

こんな中、ヨガに一体何ができるのか?と考えていました。

アーサナやプラーナヤマ、瞑想などの実践によって免疫を上げることはとても大切です。コロナウイルスは保菌しても誰もが重症化する感染症ではありません。若い人、免疫力が強い人は、保菌しても重症化せず、症状がでないまま完治することが多い。

そのため、日頃からの体調管理が最も大切です。

それ以上に問題なのは、過剰な情報の錯綜による精神的な混乱ではないでしょうか?

不安を仰ぐ情報に翻弄されないために、ヨガスートラに書かれたイシュワラ・プラニダーナ(神への祈念)が約に立つのではないかと思っています。

心を穏やかにするためのイシュワラ・プラニダーナ

イシュワラ(自在神)とはなんでしょうか?

ヨガジェネレーションでも今週イシュワラ・プラニダーナについての記事が公開されました。

https://www.yoga-gene.com/post-34262/

この記事を書いたときは、ここまでコロナウイルスの被害が出るとは思っておらず、イシュワラに関しても今と違う考え方をしていました。宗教色を出さないために、かなり客観的な見方をしています。

ヨガスートラによると、イシュワラ・プラニダーナは、サマディ(三昧)へと直接到達することのできる実践方法。

あるいはイシュワラ・プラニダーナ(神への祈念)によってもサマディに到達することができる。

ヨガスートラ1章23節

自分自身の心を完全にイシュワラへとゆだね、あらゆるエゴを手放したときにサマディがあらわれます。

しかし、イシュワラ・プラニダーナの効果はそれだけではありません。

私たちの心に現れるあらゆる不安を取り除いてくれるのがイシュワラだと思っています。

外の不安からの解放

もちろん、物質的な問題に対して的確な対策をすることはとても大切です。

今回の場合、人混みを出来るだけさける、体温を上げる食事をとったり、充分な睡眠で免疫を上げる、手洗いうがいを徹底する、などの基本は当然押さえておくべき。

しかし、それ以上に心のケアを忘れないようにしましょう。

国民全員が怖がって震えている必要はありません。コロナの影響はまだ当面続く可能性が高いので、自分自身の心を平静に保って日常生活を送る心がけがとても大切になります。

特に経済的なダメージは感染していない人にとっても大打撃なので、多くの人が感じていると思います。

SNSなどにあふれる不安な情報に翻弄されることなく、自分自身の行うべきことを全うしましょう。こんな時だからこそ、心の安定感を取り戻すヨガの恩恵を感じやすいです。

イシュワラは、心が安定して留まれる場所

ヨガスートラにおいてのイシュワラは、最も純粋なプルシャ(真我)だと説かれています。

イシュワラとは、苦悩、行為(カルマ)、行為の結果、過去の行為の潜在印象に影響されない、特別なプルシャである。

ヨガスートラ1章24節

プルシャ(真我)とは、物質世界(プラクリティ)には汚されない存在です。

私たちの内側に宿る霊魂のような存在です。

私たちは外見ばかりに目が向きがちですが、本当の自分の芯の部分は、物質的な要因に左右されません。

人の心は、外側の世界と自分自身(プルシャ)を切り離すことが上手くできません。

だからこそ、純粋な存在であるイシュワラに意識を預けることによって、外の世界の不安から自身を切り離すことができます。

ヨガは、心の意識をどこに向けるかのトレーニングです。

現実でどのようなことが起こっていても、一喜一憂したり翻弄されないようにします。

常に心を冷静に保ち、内側の平穏さを感じることができると、恐れの感情が自然と薄まります。

心の健康は、身体的な健康にも繋がります。また、冷静さは、自身が正しい対応をするために必要なものです。冷静に考えることができれば、デマに翻弄されて慌ててトイレットペーパーを買い占めるような行動はしません。

まずは、自身の心から。内側から平和を取り戻すことで、今の状況の中でも自分自身の生活を地に足を付けて生きられるようになります

宗教?ヨガ?イシュワラに対する考え

ヨガスートラの中でのイシュワラの定義は「物質に汚されていない純粋なプルシャ」です。

つまり、私たちの内側に宿る霊魂と同じ存在であり、人を物理的に救うような力はありません。イシュワラが私たちに与えてくれるのは、真実の知識です。

ヨガにおいての、イシュワラ(神)とは、先生であると説かれています。

しかし、今はもう少し、宗教的な意味でのイシュワラ・プラニダーナを実践してもいいのではないか?と思っています。

音楽によるイシュワラ・プラニダーナ

特定の神様に対する讃歌やマントラを唱えたり、祈りを捧げることは、私たちの心に安心感を与えてくれます。

宗教を盲目に信仰すると、高額のお布施を払ったり、自身の思考を失ったりするリスクがあります。しかし、もっと穏やかな心で信仰に触れていると、自分の穏やかさを取り戻す良い効果を与えてくれます。

例えば私の場合は、グルクル(住み込み型の学校)の中のお寺で、クリシュナ神に向けてバンスリを吹きます。その時、純粋に心と音、クリシュナ神が一体となって、深い幸福感を感じることができます。

キルタンで神への讃歌を歌っている時も同じです。

盲目ではない穏やかな信仰も…

自分自身のプルシャ(真我)に心をゆだねることはとても難しい。だからこそ、偶像神を対象としても良いのかなと思いました。

幸いインドの神様は多神教であるため、私が仏教徒であっても、他の神を信じていたとしても、受け入れてくれます。

リシケシのシヴァナンダヨガ・アシュラムにいた時には、祈りの部屋に仏陀やキリスト、その他の宗教の信仰対象が平等に飾られていました。

自分自身が一番穏やかになれる方法でイシュワラ・プラニダーナを実践してもいいのではないでしょうか?

(こんな言い方をすると、まじめな宗教家には怒られてしまうかもしれませんが…)

そんなことを思いました。

私が唱えるマントラは、ジョージ・ハリスンがプロデュースしたChant of Indiaというアルバムに収録されています。初めて手に入れたインド音楽のCDでもあります。

音楽は私にとってのイシュワラ・プラニダーナです。

Chants of India

イシュワラ・プラニダーナについては動画でもお話ししています。

バーンスリー演奏【名曲】インド独立の父 マハトマ・ガンジーが愛した曲「Vaishnav Jan To Tene Kahiye Je」を演奏|講師:永井由香|教えて♪ヨガ哲学|

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