ヨガでマントラを唱えることがあります。
マントラの効果について深く考えたことはありますか?
音には力があるため、マントラは意味を理解していなくても効果があると言われています。
現にキルタンは、インドの言葉を理解しない世界中の人によって唱えられています。
では、音がどうして私たちの心に作用するのか?
それについてじっくり考えたのがミーマンサー哲学です。
(ミーマーンサー哲学については今勉強なので、現時点でのまとめです...)
音の哲学:ミーマンサ哲学って何?
ミーマーンサー哲学は、インドの6派正統哲学の一つです。
6つの哲学のうち、ヴェーダ教典の教えの本質を忠実に解き明かそうとしたのがヴェーダンタ哲学と呼ばれます。ヴェーダンタ哲学はバガヴァッド・ギーターを中心に、現代のヒンドゥー教に大きな影響を与えています。
それに対して、ヴェーダ教典の祭祀(儀式)部分を担ったのがミーマーンサー哲学です。
ミーマーンサーの意味と教典など
教典:ミーマンサスートラ(ジャイミニ著)
言葉の意味:「考察・熟考する」という意味。全てのもが理論的に証明できるかを深く考えます。
特徴:言葉は不滅だと考える。
ミーマーンサーには大きく分けて2つの流れがあります。
1) Pūrva-Mīmāṃsā
2) Uttaramīmāṃsā(後ミーマーンサー(知識=ヴェーダンタ))
前期ミーマーンサー哲学であるプールヴァ・ミーマーンサーは現在主にミーマンサ哲学と呼ばれているものです。それに対して、後期ミーマンサであるウッタラ・ミーマーンサーは、ヴェーダンタ哲学のことを意味します。
マントラ(音)の力を信じるミーマーンサー哲学
古代の聖人たちは、深い瞑想状態の中でマントラを得たと考えられています。
音・言葉・マントラこそに力があると信じられています。
ミーマーンサー哲学ではアクシャラ・ブラフマという言葉を使います。アクシャラは本来、文字を表している言葉ですが、「不滅の・失われないもの」「永遠のブラフマン」という意味で使われます。
宇宙や発展について多くは語りません。音がどれだけ重要で、音によって何がもたらされるのかを問う学問です。
音は永遠に結びつけるための手段であると考えます。世界の始まりには何もなくて、音だけがあった。その音と結びつくことで、私たちの意識は無限のものとなります。
マントラには意味があるものと無いものがある
マントラには様々な種類があります。
言葉の意味があるものと、意味のないマントラがあります。
特にタントラのマントラは意味が少ない。(音だけ)例えば、Ham, Ramなどの1語のマントラを使うことが多いです。それらのマントラに言語としての意味はありません。意味が分からなかったとしても、決められた音を唱えることによって効果を得ることができると考えられています。
効果とは、静寂に向かうことです。マントラを唱えるのは、それ自体が目的ではありません。音によって、無音・寂静の状態、深い瞑想状態に入るのが目的です。
ミーマーンサーにとって、神はいなくても良い存在
マントラというと、神様への讃歌を思い浮かべる方が多いと思いますが、実際はかなり曖昧です。
私たちは神を信じても信じなくても関係ないと考えます。なぜなら、私たちはカルマによって動かされているから。神はカルマを動かさないから。
神はいるかもしれないし、いないかもしれない。しかし、カルマ(行動)を作り出すのは人間。そして人間はカルマに束縛される。つまり、神はいてもいなくてもどちらでも良いと考えられます。
儀式は5つの要素のために
犠牲のことをヤジュナ―と呼びます。
現代でも見られるヒンドゥー教の儀式では、火を焚き、沢山の花やミルク、油などを捧げながらマントラを唱える儀式を行います。
神を信じないのであれば、儀式は誰のために行うのでしょうか?
ミーマーンサーでは、世界を作り出す自然の要素に繋がろうとします。自然の働き・秩序こそが祈りの対象です。つまり、自然の要素こそが祈りの対象です。
太陽(ガヤトリー)に祈る
ガヤトリー・マントラという有名なマントラがあります。
太陽は神。太陽はエネルギーの根源、プラーナの根源だと考えられます。
なぜなら、植物は太陽の光によって育ち、全ては太陽の光の出ている昼間に活動するからです。
太陽の力(=火)を自分自身のローカルの場所に持ってきて、使用する。これがミーマーンサーの儀式です。太陽の力を借りるとき、太陽を直接持ってくることはできません。しかし太陽と同じ要素である火を儀式に使うことで、自分自身に太陽の力を借りることができます。
この、火を使った儀式は、私たちの人生の、あらゆる始まりと終わりに行います。家を建てる時、人が死んだとき、インドでは、あらゆる儀式で火の儀式を見ることができます。
火を例えに出しましたが、水、地、空、風、火。これらがミーマンサにおいての神です。
これらを個人の人生に持ってきて繋げるのが儀式です。
音(マントラ)と犠牲が大切
ミーマーンサーにおいて大切なのは、音(マントラ)と犠牲(ヤジュナー)の2つです。
マントラは神への供物(捧げもの)です。音によって、5つの自然要素に繋がります。
また、火の儀式により、犠牲を火に捧げていきます。犠牲を捧げることによって、自分自身がその対価を受け取ることができると考えます。
しかし、ミーマーンサー哲学でも真の目的は内側の浄化です。ミマンサは内側の感覚が浄化され、真の知識が得られなければ意味がないと考えられています。
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