ヨガと神様。宗教とヨガ。宗教を信じたくなくてもヨガは練習できます。ヨガの神様について。

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先日、ヨガジャーナルさんでヨガの神様についての記事を書きました。

ヨガと宗教の違い:ヨガ・スートラが唱えるイシュワラ(自在神)とは? | ヨガジェネレーション yogageneration
ヨガの実践から生まれた真実を哲学としてまとめた「サーンキャ哲学」は本来、神の存在を否定していると云われています。では、ヨガにおけるイシュワラの存在とは何なのでしょうか?今回はヨガ・スートラに焦点を当てて、ヨガと宗教の違いについて書きたいと思います。

こちらでは、ヨガスートラに書かれた神様イシュワラについて書いたのですが、その他のヨガに関する文献、例えばバガヴァッド・ギータやハタヨガ・プラディーピカを見ると、かなり宗教的な側面が強く書かれています。

ヨガを実践するのに、宗教的な信仰は必要なのでしょうか?

ヨガでも宗派によって全く神様に対する考え方が違うので、簡潔に書いてみたいと思います。

ヨガスートラにおける神様。イシュワラとは?

ヨガスートラはインドの6哲学学派の中のヨガ派の経典として知られる文献です。

古典ヨガの代表的な文献として知られて、現在でもヨガを勉強する人は必ず手に取る1冊です。6派哲学については以前に別の記事で触れています。

ヨガ派は主に実践部分を担っていますが、ヨガの理論部分はサーンキャ哲学が担っています。

ヨガとサーンキャ哲学は基本的に一対のものとして考えられていますが、唯一違うのが神の存在について触れているかどうかです。

  • ヨガ: イシュワラ(神)への祈念によってサマディ(三昧)の実現が可能。
  • サーンキャ哲学: 世界はプルシャとプラクリティによって出来上がっている。神の存在を認めていない。

ヨガでは神(イシュワラ)という言葉が出てきますが、私たちの考える宗教的な神とはだいぶ違う意味で使われています。

サーンキャ哲学では私たちの本質はプルシャと呼ばれる純粋意識であり、それは魂のようなものですが、それは無数に存在します。

ヨガ・スートラに書かれるイシュワラは、プルシャの中でも物質世界に汚されていない最も純粋なプルシャです。

また、イシュワラには物質世界を変える力はなく、私たちの意識が苦しみから解放されるための知識を教えてくれる先生のような存在です。

イシュワラは時間による制約を受けない存在であるため、古代のグルにとってもグルであった。

(ヨガ・スートラ1章26節)

イシュワラ(神)という言葉を使いながら、実際はプルシャと言う純粋意識の一つとどまり、絶対神の存在を認めないヨガ・スートラ。

救いは神ではなくて、自分自身のヨガの実践でしか到達できません。

宗教とはかなり違うと言えるのではないでしょうか。

バガヴァッド・ギータはバクティヨガ(神への信愛のヨガ)。それって宗教?

ヨガの経典としても知られるバガヴァッド・ギータですが、インドではヒンドゥー教の最も有名な教典でもあります。

私たちがヨガの経典として参照するときには、宗教ていな側面はあまり触れていないかもしれませんが、全体を読むととても宗教的な文献であることが分かります。

全てのヨギーの中で、私(クリシュナ)に心を向けて信仰し、私を信愛するものは「最高に専心した者」である。

バガヴァッド・ギータ6章47節

バガヴァッド・ギータでは複数のヨガの方法が紹介されていて、人によって相応しいヨガを選ぶことが可能であることが書かれていますが、全体としてクリシュナへの信愛を捧げることを勧められています。

バクティヨガ(クリシュナへの信愛のヨガ)の書として有名なバガヴァッド・ギータ、書かれている内容はとても幅広く、ヨガ・スートラと違い複数の道を与えてくれていることで、とても参考になる経典ですが、宗教的な側面まで受け入れるかどうかは、私たち自身で思慮しながら読む必要があるかと思います。

私自身は、大きな知恵を与えてくれるバガヴァッド・ギータがとても好きですが、事前の知識なく読み進めると、盲目的な宗教経典に感じてしまうかもしれません。

ハタヨガもヒンドゥー教の神々が登場するヨガの宗派です

現在、日本を含めてポピュラーな、アーサナ(ヨガのポーズ)やプラーナヤマ(調気法)など身体を使ったヨガをハタヨガと呼びます。

サマディ(三昧)へ到達するための方法を説明したヨガ・スートラや、ブラフマン(宇宙原理)と一体になることを目的としたバガヴァッド・ギータは精神的な部分を中心としていますが、ハタヨガは私たちの身体を使ったヨガの実践方法について詳しく説明されています。

ハタヨガの大きな流派としては、シヴァ神を信仰する宗派とヴィシュヌ神を信仰する宗派がありますが、多神教であるインドではどちらの宗派でも両方の神様が登場します。

ハタヨガも、とても実践的なヨガではありますが、とても神秘的な体験について書かれています。

現在ハタヨガの宗派として知られるアイアンガーヨガやアシュタンガヨガではあまり宗教的なことを言わないように感じるかもしれませんが、アイアンガー氏やパタビジョイス氏の著書を読むととても信仰心が強い方だったことがうかがえます。

ヨガと宗教は密接に関わっているけれど、信仰は自由

「ヨガ」と一くくりにしても、宗教的な観点から見ると宗派によって全く違うことが分かったと思います。

しかし、本来ヨガは老若男女問わず全ての人に開かれたものであり、生まれ持った宗教も問いません。

特に、日本でヨガを学ぶ場合には、宗教的な信仰を求めることはほとんどないでしょう。歴史的にヨガと宗教は密接に関係してきましたが、自分自身がヨガの実践を行う場合には特に気にする必要はないと思います。

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